魔術師をめざして

魔術師を目指して、相場・数学・プログラム言語を研究しています。

まぼろしの彫駒

実はぼくは将棋の駒が好きなのだ。

普通の人だと将棋の駒といえばプラ駒以外は知らないという人も多いことだろう。その値段についても高いもので5千円くらいなんじゃないのっていう感覚だろう。

【 武山作錦旗彫駒 】

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別に自慢したい気持ちはないのだが、ぼくが買った一番高い駒は140万円だ。もったいなくて使えないよね。その駒は「影水作錦旗盛上駒」というものだ。しかし、今ではマニアの誰もがその価値を認識できるような高級駒への興味は少なくなった。

つまり、コレクターとしての動機はぼくの心の中からほぼ消えてしまったのだ。その代わり、道具として使える駒、自分にとって使うための駒への興味が高くなったというわけだ。

そして、ほしいと思う駒は、お金をいくら積んでも手に入らないような「まぼろしの駒」に移った。それが「武山」というわけなのだ。ただしこれは表面的な説明で、本意はもう少し別のところにあるのだが、この場ではわかりやすさを取って、手に入らないからほしいということにしておこうと思う。そういう面もあるのは事実だから。

話の流れもその線に沿って進めてみようと思う。

さて、上の画像の駒はその昔天童で作られた大衆向けの彫駒だ。しかし、この駒は手に入れようと思っても簡単には手に入らない。それどころか、駒のマニアにとっても、どこにも見あたらないし見つからないという駒なのだ。

その価値はもちろんその仕事の内容にあるのだが、それについてもこの場ではこれ以上触れないつもりだ。簡単に分かるものではないからだ。

だから、武山というこの名前を覚えておいてほしい。オークションなどで見つかったらぜひとも落札しよう。ただし、そう簡単に出るものではない。もし、出た!と思っても、駒のお尻に「武山」と彫ってあるだけで、ぼくのいう武山でない場合がほとんどだろう。

機械彫りといって人間の手によらない作に武山というブランドがあるので、それは結構出てくるし、今も探せば直ぐにあるかもしれない。

【 武山作天童楷書彫駒 】

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直ぐ上の画像。これも、まぼろしの彫駒「武山」だ。

武山の天童楷書彫駒は、もし見つかってもその出来がよくないものが多い。画像の作ほど力の籠もった意欲作はほとんど例を見ないといえる。

あっ、それなら家にあるよっていう人がいたら。大切にしてほしい。リサイクルショップに5百円で売ってはならない。どうしても売りたい人はオークションに出すとよいだろう。

二番目の画像の駒は最初の画像の駒よりもわかりやすいと思う。

二番目の画像の駒のその仕事の迫力がわかるだろうか。多分なんとなくはわかってもらえるだろう。このような駒は数もの仕事として一日にいくつも作っていたものだ。妥協の産物でもあるはずが、ときに練達は意地を見せたのである。そうやって隠れた名品が大衆駒のなかに埋もれ存在することとなった。

もともと大衆駒であるため、大切にもされず使い切られてしまったり、なくなってしまったり、特に名品といえるほどのものなど残っているはずもないという現状なのだ。

その、まぼろしの駒が、今日ごく希に姿を現すことがある。

それを逃さないように注目してほしい。リサイクルショップに寄ることがあったら、武山はありますか?と聞いてみよう。えっ?と聞き返されることは必至だろうけどね。:P