まじん原始トレード
春香の本を読んでいて感じたのは、ぼくがなにもしらないままやっていたころのトレードににているということだ。もちろん、春香の現在のトレードはとても進化したものだろう。
ぼくはFXをやってみようと思いたって、すぐにロウソク足を表示してみた。そして、ロウソク足についてちょっとだけしらべた。その後はすぐにポンド円の1分足と5分足でリアルトレードを始めたのである。
ぼくは逆張りばかりをやっていた。天上と思ったレートがそのままあがりつづけて、ひどい目にあったことも数多くあった。ほんとうに天上かどうかはロウソク足の状況をみて判断していたのだ。天上とみたら売りだ。ある程度さがったらすぐに決済だ。
0.1ロットが基本だったが、1ロットでやったこともあった。1回の利益は千円から5千円ほど。Pipsという概念はしらなかった。最初から1日1万円くらいの利益をあげることができた。ぼくは当時、このぼくの原始的なトレードのことを「指かじり」と呼んでいた。また、当時はナンピンのことはしらなかったが、いま思うと、しらずしらずナンピンもおこなっていたようだ。とにかく負けたくなくて、できることはなんでもやっていた。
指かじりで1日1万円の仕事になるじゃないか。ぼくは、えつこや春香とちがって、そこから根性を発揮して這いあがる必要はなかったのである。最初からそこそこうまくやれたのだ。
でも、当時のぼくはなぜか、1日1万円じゃ話にならないと思ったのだ。いまならば、その成果を Pipsでとらえ、1日100pipsなら成功と判断できたであろう。しかし、じっさいは1ロットでもやっていたので1日100pipsだったかどうかわからない。下回っていたはずだ。
勝率は9割ちかいものだったが、負けるときの額が大きかった。1万円を越えることもあった。そのときは苦痛だった。また、このやり方じゃダメだと思ったし先がないとも思った。それで、ぼくの本来の研究心に火がついて、トレードを放りだしてテクニカルの勉強に向かったのだ。
ぼくはやがて、春香の乖離とはちがって ZigZagインジケータに注目したのだ。けっきょく逆張りの成功体験がわすれられず、逆張りにこだわったのだ。ぼくは、ロウソク足を気にすることをやめて ZigZagに頼るようになった。
そうしたら、勝てなくなった。ZigZagインジケータがあてにならないことに気がつくまでにちょっと時間がかかってしまったのだ。そしてまた、そのころには原始的な「指かじり」には戻れなくなっていた。知識が増えてきて、野生の勘だけに頼れなくなっていたのだ。
そこで、きっかけがあったこともあり、方向性を変えてロボットを作ることにしたのだ。プログラミングの経験はあったので、MQL4の言語自体をおぼえるのはすぐだった。時間はまったくかからなかったのだ。
それでも、MQL4を使ってトレードを書きあげるということには理解できていないことがまだ多くあったのだ。そこで、外国のサイトからベースとするためのソースコードをひろってきて、それを元にしながら、必死に勉強しながら、EAを作りあげたのだ。
そういう事情もあって、できあがったEAのなかには自分でも完全には理解できていない部分も残っていた。それでもできあがったときはうれしくて、バックテストを毎日毎日嵐のようにおこなったのだ。最適化もこれでもかというほどおこなった。
そしてそのロボットを「Phoenix」と名づけ運用を開始したのだった。Phoenix は毎日なんどもトレードをおこない、利益を積みあげてくれた。そのごのことはすでに書いたとおりだ。
いまでは、最適化漬けの Phoenix を使いたいとは思わない。もっと信頼のおけるロボットがつくれるはずだ。そう思い、まったくあらたな年金ロボットを目指すことにしたのである。
それと同時に、裁量トレードでもまったくあらたな挑戦をはじめようとしているのだ。7月にははじめているはずだったが、はじめなくてよかったと思う。8月末にちかい現在になっても、もっと勉強したい、もっとアイデアを生みだしたい、そのうえで、もっとしっかりとした検証をしたいと考えている。
検証ではえつこに負けないほど、チャートをみつづけようと思っている。顔からキーボードに倒れるまでやってやろうじゃないかと思っているのだ。